だって高齢出産だもん ~高齢出産のメリット&デメリット~

不妊治療・体外受精・高齢出産・出生前検査の現実は、本や報道とは少し違っていました。そんな体験や知識について書いていきます。

生物的限界に近い高齢出産に挑戦中

アラフォーで妊娠し、切迫流産になって一ヶ月ほぼ寝たきりになり、その後仕事に追われ、無事出産し、育児に追われ、仕事に追われ、気づけば数年が経っていました。

久しぶりにブログを読み返して思うこと。
39歳での出産なんて、高齢のうちに入らないよ~(言いすぎ)。

ただいま、44歳で妊活中です。

しかし、思っていた以上に厳しい。
40歳を過ぎると、ホルモンというものはここまで乱れるのか。
毎回の血液検査でがっくりと肩を落としています。

1年間で体外受精に挑戦できた回数は3回。
それ以外は、ホルモン値が悪いから見送ることに。

39歳のころは、ほぼ毎月体外受精ができていました。

やっぱり、子作りは早いに越したことはない。
それを実感します。
でも、しょうがないのよね。
妊娠したくても、相手がいなかったんだから。
相手にめぐり合ったときにはすでに高齢だったんだから。

高齢でも出産はできます。
育児しながら家事と仕事をする体力もばっちりあります。
ただ、高齢出産のデメリットは、子どもに兄弟をつくってあげられる確率が低い、ということかもしれません。

 

といいつつ、私の友人2名が、43歳で自然妊娠で二人目を授かりました。
しかも「作るつもりなかったけど、できちゃった」って。
うらやましいです。
同時に、友人たちのおかげで希望が見えました。

出生前検査を受ける親の気持ち

私の友人は35歳~45歳の高齢出産が多いので、そのうち半数以上が出生前検査を受けていました。
検査を受けた母親たちに「もし、検査で異常が見つかったら、どうするつもりだった?」と尋ねたところ、全員から「堕ろすつもりだったよ」と即答されました。
私も妊娠前はそう思っていたのですが。
お腹にいる胎児の心臓の音を聞いたり、超音波画像で姿を見たりするうちに、堕胎がつらくなってきました。
「いざとなったら、この子を連れて(お腹の中にいるから、つまり単身でってことだけど)夜逃げしよう」と思いつめるほどに。

でも、友人たちに迷いはなかった。
強いなーと思いました。
結果、彼女たちの子どもは異常がなく、無事に出産にいたっています。
見ている限り、彼女たちの子どもへの愛情は深く、本物です。
「異常があったら堕胎する」と覚悟を決めた裏側では、相当の強い意思や葛藤があったのだと思います。
だからこそ、強いなーと思いました。

 

友人の1人は、検査そのものを辞退しました。

「妊娠が進むにつれ、異常が見つかっても堕ろすことはできない、という気持ちに変わってしまった」

私もこの友人の気持ちに近かったのだと思います。

 

「異常があっても受け入れるつもりだから、検査しない」と言った友人はいませんでした。
「大丈夫だと思うから、検査しない」という考えのようでした。

もちろんみんな「生まれてから異常が見つかったなら、それは受け入れる」と言っていました。

 

命を軽く考えているとか、障がいのある子どもならいらないというのは倫理に反するとか、さまざまな批判があるのは知っています。
でも、私のまわりの少数の母親たちの本音はこんな感じだったのです。

 

だから現実に、出生前検査というものが存在しているのでしょう。
諸外国でも検査を受けた9割以上が堕胎しているそうです。
世界的に高齢出産が進む中、ある国ではダウン症児が減少しているという統計もあります。出生前検査と堕胎の結果として。

夜逃げを考えていたころ、「女手ひとつでダウン症児を育てていくにはどうしたらいいのか」をいうことを調べました。
問題は山済みでした。
まず、ダウン症児を預かってくれる保育所はなかなかないとのことでした。
次に、ダウン症児を抱えている高齢の女性をやとってくれる就職先は見つかりそうにありませんでした。
ダウン症児を抱えている女性たちの手記を何冊か読みましたが、たいてい配偶者がおり、女性は専業主婦のようでした。
ダウン症児を育てている知人の知人の話を聞くと、「離婚したいけれど、この子を育てるために夫は必要。自分は専業主婦」ということでした。
1人だけ、ダウン症児を母親だけで育てているという女性がいました。
ただし、子どもが幼い間は配偶者がいたとのこと。
ある程度大きくなってから離婚したそうです。
さらに、ダウン症児の上にもう1人子どもがいて、兄弟の面倒を見てくれているから助かっているとのこと。

本当の意味で、女性一人で、ダウン症児を育てるのはかなり難しそうでした。
実行している方がどこかにはいらっしゃるのでしょうから、尊敬します。

何が言いたいかというと。
母性や倫理観があっても、生活できないという現実が予測される以上、堕胎を選択するのはムリもない現実だということ。
ダウン症児でなくても、現実に母子家庭の半数が貧困だとか。
生きていけないのに、子どもを生む、なんて選択は難しい。
貧乏でもなんとか生きていけそうなら子どもを生むのかもしれません。

そもそもなんで、母子家庭前提の話をしているの?
だって、うちの夫は「正直、ダウン症児を受け入れられるかわからない」と言っていましたから。
実際、生まれてから逃げてしまう男性も多いのだそう。
ダウン症児を育てる金銭的余裕があって、自分たちが死んだあともその子が生きていける蓄えがあって、それを見届けてくれる親族や施設の保障があるなら、堕胎なんて選択肢は考えなくてすむのに、と思いました。
それを社会に求めるのは不可能です。

ダウン症児を育てて、生活できて、というのは大変な苦労や心配はあるだろうけれど、ある意味幸せなことかもしれない、と思いました。

遺伝子異常がわかる血液検査、NITP検査を受けてみた

初回はびっしりカウンセリング。

遺伝子や障害について学びます。

 

別の日に、血液検査。

あっという間に、NITP検査は終わりました。

 

結果が出るまでの2週間は気が気じゃなかった。

とくに前日はハラハラ・ドキドキ。

これは胎教に悪いです。

 

で、検査の結果、遺伝子異常の確率はほぼ0%。

この一ヶ月間、悩みに悩んでいたことがパーッとはれていきました。

 

もしかしたら、脳障害や心臓疾患など、もっと重い障害が隠れているかもしれません。

それは検査ではわかりません。

でも、まずは今、赤ちゃんが健康だろうと思えることでほっとしました。

 

以前、東尾理子さんが、出生前検査の結果を告知したことで、賛否両論を巻き起こしていましたが。

私は、彼女をえらいなと思いました。

みんなが内緒にするよりも、どう考えて、どう結論を出したか、いろんなケーススタディを共有するほうが有意義じゃないですか。

どんな結論であっても、他人が責める必要も権利もありません。

まして彼女は、「もしダウン症でも育てる」と決意したそう。すがすがしいじゃないですか。

そこで中絶を決意していたって、いいんですけど。

いずれにしても、検査を受けたことを公表したこと自体に、好意をもちました。

 

今回、ブログに本音を書くことにしたのは、似たような問題で悩んでいて、でも、新しい検査だけに情報が乏しくて困っている、という人たちに情報を伝えたいという気持ちからでした。

 

不思議だったのは、ダウン症の子を持つある母親が「生まれる前に可能性を公表するのは、正直怒りがこみあげてきました」というコメントでした。

私ががん患者だったとして、がん検診を受けた人が、「検査で引っかかった。がんかもしれない」と言ったとして、何も怒りはこみ上げません。

実際、ダウン症育児で苦労されている人でないと、わからない感情があるのでしょうね。

 

健康な赤ちゃんがほしい。

それって、誰もが思う、ふつうの自然な気持ちです。

でも、もし、健康じゃなかったら?

健康じゃないから殺す、ってやっぱりひどすぎる。

でもでも、きれいごとじゃなく、実際に中絶を選ぶ人もいるし、生んでから「中絶すればよかった」って後悔している人もいます。

高齢出産の増加と、医療の進化(出生前検査できるようになったということで)によって、新たな「命への課題」が生まれたように思います。

 

これって「脳死」と同じく、これから長い時間をかけて議論されるべき課題だと思います。

議論って、考え方を出し合わないと進まないじゃないですか。

だからこそ、私は私の思ったこと、考えたことを正直に発信していきたいと思いました。

 

 

胎児に異常があるからといって、殺す権利があるのか?

羊水検査には流産のリスクがあります。

大事な赤ちゃんをそんな危険にさらすなんて。

流産されるくらいなら、ダウン症でもいいから生まれてきてほしい。

そんな気持ちになっていました。

 

でも、妊娠前にはこんな気持ちはありませんでした。

検査して、異常があれば中絶しようと考えていたのです。

それが、妊娠して、エコーで赤ちゃんの姿を見て、母性が出てくると、変わってしまうんですね。

 

出生前検査は、抑圧的に行われるべきである。

という見解があります。

「検査したよ」と大っぴらに、堂々と実施するべきではない、ということです。

出生前検査をする大多数の人は、異常があったら中絶を選ぶそう。

つまり、遺伝子異常のある子どもなら生まない、ということですよね。

そんな風に、遺伝や障害をもとに命の優劣を決めてはならない、という倫理観があるのです。

 

考え方としては100%賛同できるのですが。

じゃあ、実際に自分がダウン症の子どもを育てられるか。

真剣に考えました。

軽度のダウン症であれば、問題ないと思いました。

重度のダウン症だったらどうしよう?

でもそれって、生まれてみなくちゃわからないし、交通事故にあったらどうしようって考えるのに似ている気がします。

なったらなったで受け入れるしかないよね、と。

 

ところが、夫や親族に相談すると、気乗りしない返事が返ってきました。

遠まわしに「異常が事前にわかるなら、中絶してほしい」という意思が伝わってきます。

私だって、実際にお腹に赤ちゃんを身ごもるまではそう思っていたのですから、自然な反応だと思いました。

でも、ダウン症の子どもを育てている親たちのブログで、「どんな子たちでも俺たちの子どもだ。一緒に育てていこうと決めた」という記事を見て、うらやましくなって、泣いてしまいました。

そういうのが、本当に人間らしい、あたたかい、まっとうな心なんじゃないかなって気がして。

 

中絶できない時期になるまで、お腹の子を抱えて、どこかへ逃げようかとも思いました。

離婚しても、一人になっても、なんとか育てたい。

検査さえしていないのに、想像だけで泣いちゃって、胎教に悪いったらありゃしない。

 

そのうちに、出生前検査が存在していることが憎くなってきました。

だって、検査がなければ、生むしかなかったわけですから。

選択肢があるぶん、悩むのです。

 

「だから最初から、検査は受けないことにしていた」

という夫婦が私のまわりではもっとも多いです。

次に、「異常があったら中絶するつもり」と検査を受ける夫婦が多い。

私みたいに、検査を受けるつもりで迷い始めた、という友人がいないのが意外でした。

みんな、意思が強いなぁ。

 

私が若ければ、もう一度、妊娠という可能性も高いから、まだ中絶を選ぶことができたかもしれません。

でも、もう次の妊娠は不可能だろうな、という高齢。

いや、そもそも若ければ、出生前検査なんてしません。

やっぱり、高齢だからこそ、ダウン症の確率が心配なのです。

 

一般的には、ダウン症よりも、それ以外の障害の確率のほうが高いそう。

だから、ダウン症の検査だけすることに意味はない、という人も多いんです。

でもね、でもね、不思議なことに、ダウン症以外の障害はまだ素直に受け入れられそうな気がするのです。

というのも、ダウン症には「私の年齢のせい」という負い目を感じてしまうから。

実際には、高齢の母親から生まれたダウン症児よりも、若い母親から生まれたダウン症児のほうが圧倒的に多いのが現実です。(若い母親の出産数のほうが多いから)

だから、高齢のせいだけじゃないというのはわかっているんだけど。

夫や親族に対して、そして生まれてくる子に対して、「ごめんね。私の卵子が古かったのね」という気持ちを持ってしまいそうなのです。

高齢で子どもをつくるということが、エゴだったんじゃないか、と。

 

こんなことを考えているのって、もしかしてマタニティブルー?

悩むだけ悩んだら、あるとき、急にふっきれました。

エゴで何が悪い?

子どもがほしいと思って何が悪い?

子どもができる年齢の間につくった。それって悪いことじゃないよね?

 

どんな子どもでも、障害があっても受け入れよう、と思える人はそうすればいいんです。

だからといって、出生前検査&中絶した人たちがひどいわけじゃないと思います。

中絶って文字にすると簡単だけれど、実際には陣痛促進剤の力で出産するのだそうです。

自分の力で、自分のお腹の中にいた子どもを生み落として、その子の亡がらを受け取って、火葬場に行く。どれほどつらいことなのでしょう。
それほどの決意をするには、その家庭ごとの深い事情があるはず。

私がそのつらさに耐えられそうかどうかは、検査結果を見たときの気持ちで決めよう。

まずは検査。それから考える。

ということで、夫にも合意をもらいました。

 

本来なら、中絶か妊娠継続かを決めてから検査を受けるべきなのだそうです。

冷静ではない一時の感情で重大な決意をするのは危険ですし、夫婦の意見が分かれても困りますしね。

ちなみにこの時点での、異常がわかった場合の対処への気持ちの比重は

【私】生む6:中絶4

【夫】生む2~3:中絶8~7

でした。

 

胎児に異常があるからといって、殺す権利があるのか?

このテーマについては、人によって考えが違うでしょう。

今の日本の法律では、基本的に中絶は禁じられています。

ところが「経済的にやむをえない事情」があれば、中絶していいのだそう。

現実に、中絶という選択肢がある以上、この国では胎児を殺す権利が親に与えられているのと同じです。

 

どんな女性だって、中絶なんて思い、味わいたくないですよ。

どんな事情があったって。

そのつらさを味わうのは、女性だけなんですよね。

 

 

 

出生前検査をするべきか迷う

高齢出産のデメリットナンバー1は、「ダウン症や先天性異常の確率」がUPすること。

この点については、妊娠前からパートナーと相談済みでした。

「妊娠したら羊水検査をして、先天性異常が見つかったら中絶する」とお互い、迷いなく合意できていたのです。

 

ところが、いざ妊娠してみると母性が生まれて、「中絶なんてできない」という気持ちに。

エコーを見たり、心音を聞いたりすることで、「この子はお腹の中でちゃんと生きている! ここに命があるんだ!」という実感が生まれたのです。

 

とはいえ、妊娠前からの約束はあるし、高齢出産という不安を抱えてもいるし。

中絶うんぬんは検査を受けてから再度考えよう、ということにしました。